伝統の力、高岡にUターンするきっかけに。

大野 悠さん老舗和菓子店 企画担当

出身/富山県高岡市
移住年/2014年にUターン
家族構成/二人暮らし

ふるさとの良さ、家業がもつ価値に気づく

大野悠さんは、御車山を守り伝える山町筋で天保9年(1838)から続く老舗和菓子店「大野屋」の長女として生まれた。10代の頃、伝統に重荷を感じ、最新のファッションや織物に興味を持ち、金沢美術工芸大学へ進学。大学院を含めて6年間織物を学んだ後、東京のアパレルメーカー・ヨーガンレールに入社し、テキスタイル(生地、織物)のデザイナーとなった。4年間働いたのち、母校金沢美術工芸大学の講師となったが、家業が気にかかり、学生にテキスタイルを教える傍ら、週末には高岡に帰って店を手伝うようになった。
そして2014年、結婚を期にUターンし、家業を継いだ。織物、デザイナー、和菓子と、ジャンルは異なるが、モノづくりという点は同じ。伝統が新しさにつながることに気づいたからだ。
「大野屋は山町筋で江戸時代から180年近く、商いを続けてきました。金沢、東京と17年間離れていたからこそ歴史のある街、高岡の良さ、家業がもつ価値に気づくことができました」と、大野さんはこれまでを振り返る。

明治、大正期の和菓子用木型
口に入れると、程よい甘みでふんわりと溶ける。
香料は一切使用していないが自然な香りが広がる。

和菓子用木型でつくるラムネ菓子

伝統を踏まえ、時代に合った和菓子を作ることにやりがいやおもしろさを感じ始めている。そのきっかけとなったのが、「高岡ラムネ」。「伝統を守ることはいろんなことにチャレンジしていくこと」という思いから企画した。落雁づくりで使われている木型で、何か新しい商品ができないかと、友人と共に試行錯誤し、縁起物をかたどったラムネ菓子を考案した。富山県産コシヒカリの米粉や国産生姜など素材にもこだわり、ふんわりとやさしい味に仕上げた。
商品開発やプロモーションには、高岡市、高岡市デザイン・工芸センター、富山大学芸術文化学部の協力を得ることができた。「同じように高岡で頑張っている若い人たちとのつながりも増えました」
「高岡ラムネ」はすぐれた地方産品を発掘し海外に伝える経済産業省のプロジェクト「The Wonder500」に選ばれ、首都圏のアンテナショップでも“大人が愉しめるラムネ”として女性たちに好評だ。
和菓子やふるさと高岡の歴史、文化をもっと学びたいという大野さん。次代に向けて和菓子が何を発信していけるのか。守るべきものと、時代と共に更新していかなくてはいけないところはどこなのか。「見極めながら楽しんで和菓子づくりに励んでいきたいですね」と、大野さんは未来を見つめている。

時には職人の父とぶつかることもあるが、
お互いに切磋琢磨し、大野屋を守り育てたいと話す悠さん。