金属との衝撃的な出会い、
高岡との自然な出会い。

上田 剛さん銅器着色職人

出身/奈良県
移住年/2012年
家族構成/妻、子ども

進学した美術大学で、出会った

それは、今まで見たことのない光景だった。堅いはずの金属が溶け、とろりとした水のようになり、型のなかへ流れ込んでいく。上田さんは、「非現実的な光景だった」と語る。
美大で金属と出会い、強く魅せられた上田さんは、以来3年間鋳金を学び、さらに深く学びたいと東京藝術大学大学院へ進学。卒業後、大学時代にインターンシップで来たことのある高岡市の銅器着色業「有限会社モメンタム・ファクトリーOrii」に入社する。「着色は、金属の色や表情を作る工程で、金属表面にいちばん直接触れ合える工程です」。“金属の発色”という未知の領域を相手に、上田さんの高岡暮らしが始まった。

ひとつひとつ異なる味わいを見せる着色技法

鋳物がしたいなら高岡

上田さんにとって高岡は、「鋳物ができるまち」。作品の制作に、金属を溶かす鋳造作業は欠かせない。高岡市デザイン・工芸センターには、「鋳造場」など金工に必要な設備などが整っており、一般の人でも使用することができる。
上田さんの作品に、モチーフはない。「銅合金の表情や色からインスピレーションを受けてつくります。プリミティブな感情を形にして残したいんです」。
2013年、同じ美大出身の陶芸作家、麻穂さんと結婚。2016年には、ご自宅に工房開設。その際、高岡市が行っている「次世代クリエイター工房開設支援事業」が活用された。
やがて、上田さんの心のなかに、作家活動を広げていきたいという思いが高まり、2017年に独立。「自分を追い込むことも、モチベーションのためには必要なんです」。
また、高岡市の伝統工芸産業希少技術継承事業の対象者となり、焼型鋳造を週1回金工作家の中村喜久雄さんから学んでいる。
そんな上田さんも、プライベートでは1児のパパ。「子育ては、妻と二人でしてます。妻が制作する時は、ぼくが子どもの世話をしてますよ」
2018年4月からは、保育園の入園も決まった。「奈良と名古屋出身の二人だから、周りのサポートは重要です。高岡市の子育て支援センターも利用しています」。
高岡での新しい日々がまた始まる上田さん。これからもたくさんのうれしい出会いが待っていることだろう。

高岡市デザイン・工芸センターの
鋳造場を利用して作品作りを行っている