好きなものが詰まった高岡で
クラフトビールづくり。
大島 紀明さんクラフトビール醸造者
出身/神奈川県
移住年/2017年
家族構成/妻、子ども
自動車エンジニアからクラフトビールの世界へ
高岡駅から20分程歩いた場所に、高岡鋳物発祥の地・金屋町がある。重要伝統的建造物群保存地区に選定され、石畳と千本格子の町屋がつづく美しくも趣深い町並みだ。
ここでクラフトビールの醸造を行っているのが、神奈川県から移住した大島紀明さん。町家を自身でリノベーションし、クラフトビール醸造所と、できたてビールを提供するお店を営んでいる。
大島さんの前職は大手自動車メーカーのエンジニア。ものづくりが好きでいつか自分の力で何か事業を起こしたいと考えていた。たまたま転勤先のアメリカでクラフトビールの魅力を知ったことが、きっかけとなった。「エンジニアとは全く違う、思い切ったことをしたね」と言われることもあるが、大島さんの中では「ものづくり」という点でつながっているという。
「エンジニア時代は消費者との距離が遠かったけど、今はすぐにフィードバックが得られる。これもクラフトビールの魅力ですね」。
金屋町との運命的な出会い
どこで開業するか―。神奈川県とともに候補にあがったのが、奥様の実家がある金屋町だった。何度か訪れるうちに、この町の歴史や祭り、建物に惹かれていた。
「もともと歴史や古い建物が好きなこともあり、歴史ある町並みにクラフトビールのお店というコンセプトは神奈川で開業するより絶対に面白いと思った。それに高岡市がものづくりの町というところが、自分の生き方にも合っている」。
大島さんは金屋町の定住促進に取り組む「金屋町元気プロジェクト」を通じ、さっそく物件を探しはじめた。醸造所・店舗・住居を併設するとあって、物件探しは難航したが、最終的に納得できる好物件に巡り合えた。
2017年10月に転居し、住みながらリノベーションを行った。先ずは、醸造所を開業し、次いで2019年1月に店舗「Latticework BREWING Tap House(ラティスワーク ブルゥイング タップハウス)」をオープン。今は消費者や地域の人との距離が近いこの仕事に充実を感じながら日々を過ごしている。
「高岡は町の暮らしも楽しめるちょうどいい場所。歩ける距離に生活に必要なものは揃う。ちょっと移動すれば海も山もある。いい意味で振り幅が大きいですね」。
好きなものに囲まれたこの町で、大島さんのビールづくりはまだまだ始まったばかりだ。