自然体で生きることをモットーに。



かん

 あゆみさん

出身/東京都
移住年/2013年
家族構成/一人暮らし

五位の自然と人の温もりに魅了されて

高岡市西部の山間地に田畑や集落が点在する五位地区。神庭あゆみさんは2013年4月にNPO法人地球緑化センターが進める「緑のふるさと協力隊隊員」として派遣され、五位営農組合での作業をメインに活動を始めた。期間は1年間。田んぼの荒起こしや田植え、草刈り、稲刈り、籾すりなどの作業で任期はあっという間に過ぎた。幼少期、名古屋や福島県南会津の自然に触れ、感性を育んだ神庭さんは中学生の頃からの都会暮らしに息苦しさを感じていたことから、高岡への本格移住を決断した。
「五位地区の人の温もりと自然が背中を押してくれました。近所のおじいちゃん、おばあちゃんは孫のように可愛がってくれます。歓迎ぶりに胸が熱くなります。ここはクマの出没情報が出るほどの自然豊かな地。雪は多いときで2mくらい積もりますが、厳しい環境は苦にならず、雪かきも嫌いではありません。自然に触れながらの暮らしが私の肌に合っているのだと思います」。
営農組合に就職し、農業の担い手として本格的に働くという選択肢もあったが、街との接点がなくなるのが不安で、週4日、福岡郵便局で配達のアルバイトをしながら生計を立て、それ以外の時間で営農の仕事に関わっている。2枚の田んぼでの水稲栽培のほか、五位特産の安納芋の栽培、温泉施設の草刈りなどで忙しい日々を送っている。

山や田畑に囲まれ、のどかな時間が流れる五位地区
山や田畑に囲まれ、のどかな時間が流れる五位地区

獅子舞や菅笠に触れ、人と交流

五位地区で毎年9月に行われる村祭りで、神庭さんは獅子舞の太鼓を叩いている。移住した1年目は、祭りに合わせて帰郷した若者から「あんた誰?」といぶかしげに見られたが、今ではすっかり顔なじみに。伝統の祭りを支える一員になっている。このほか、福岡特産の菅笠の材料となるスゲを植えたり、笠の編み方を習ったりしたこともある。初めての土地で農業に携わり、人と出会い、行事に参加しながら自分自身の生き方を探ってきた4年間だった。
神庭さんがいま大切にしているのは、「楽に自然体で生きること」。集落のおじいちゃんやおばあちゃんと笑ったり、秋の収穫に感謝したり、山でワラビやゼンマイ、ムカゴやアケビを見つけたりする時間がかけがえのないものになっている。